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微量の流血表現を含んでおります。閲覧の際はご注意ください。

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「…あ……ぇ…?」

それは、突然の出来事だった。

いつもの場所で、いつもと同じ他愛もない会話をして、それで…。突然なくなってしまった。

今目の前に広がっているのは、大好きだった人達が赤い液体に塗れ動かなくなったもの。そして、それらをただ見下ろす男。

「………ひっ…あ……あぁぁあぁあ゙あ゙あ゙…」

ツンとした匂いと共に、俺の足元にまでその赤い液体は広がってくる。

それは徐々に靴下に染み込み、気持ち悪く生暖かい感覚が…俺の頭を支配した。

男はゆっくりと近づいて、今度は俺に刃を向けた。 視線が交わったその瞬間、少しだけ男の瞳には迷いが見えたような気がした。それでも、男は手を止めようとはしない。

機械的な動きにも見える男。男には俺が、どう映っていたのだろう。

「__…すまない」

…なぜ、謝った?

父さん達は容赦なく殺したのに、どうして俺にだけは罪悪感を感じるんだよ。…いっそ、俺の事も父さん達と同じように殺してくれよ。

俺も、妹も、全部全部……。

その手で、壊していてくれたら。