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-chapter 1-

「………ふぅ」

心地よい風が頬を掠める春、とある学校の敷地内にある広大な人工森林。”それ”は、ガシャンと大きな音を立てながら行動不能になり、崩れ落ちる。

ナイフを慣れた手つきでしまいながら、目の前に散った破片の量を見て、後片付けの億劫さに自然と顔を顰めた。

その中の一つを蹴り上げ、後の分析のために回収していると…突然目の前に人の気配がした。

「―お疲れ、水崎(みずさき)。怪我はない?」

俺の名前を呼びながら、目の前の木陰からゆっくりと歩いてきた涼し気な男。整った顔に映える紫の瞳にサラサラとした赤紫の髪を揺らしながら、こちらに笑顔を向けている。

彼の名は『早河 亮(はやかわ りょう)』。

俺の同級生。何かと古い仲だ。

「あぁ。この程度なんともねぇよ」 「そっか、良かった」